叶う。 Chapter3
心配で仕方がなくって、私はその日の昼食にほとんど手をつけもしなかった。
そしておろおろと家中を歩き回る私に、美弥も苦笑いを浮かべていた。
和也はお父さんが家に居なければ来れないので、来る前に必ずお父さんに連絡を入れていた。
だから私は何度も、お父さんに和也から連絡が無かったかを聞きに書斎へと足を運んだ。
何度目かの私の訪問に、お父さんは呆れ返ってこう言った。
「お前、充分あいつに惚れてんじゃねぇか。いつまで意地張ってんだ?」
「・・・・・そんなこと・・・。」
「じゃあ、何でそんなに気にするんだ?」
「だって、いきなり来なかったら誰だって心配に・・・・。」
「どうでもいいやつなら、気にもしないだろうよ。」
「・・・・・。」
「それにアイツだっていつまでもお前に構ってるわけないだろうが。あんな良い男だったら、他の女だってほっとかねぇだろ?今頃デートくらいしてるかもしれねぇな。」
お父さんはそう言って意地悪くにやっと笑った。
「女と初詣でも行ってんじゃねぇか?なんせお前にはそれを知る権利も止める権利もねぇんだからな。分かったらさっさと出て行け、仕事の邪魔だ。」
お父さんはそう言って、私を書斎から摘み出した。
今思えば、私はお父さんの策略にまんまと乗せられたのだ。