叶う。 Chapter3
それからずっと、不安で仕方がなかった。
だけれどお父さんに余計なこと言われたせいで、何故か違う妄想が頭をずっと駆け巡り続けていたのだ。
そう、私は和也は私のことが好きだから毎日やってくるんだと勝手にそう思っていた。
だけれど和也だって普通の男の子なんだ。
特に今はフリーなわけで、他の子とデートしていようが、何をしていようが、私にそれを咎める権利は無いし、するつもりもなかった。
だけれど何故か、その想像は私の心をとても不安定にさせる。
ひょっとしたらこんな面倒な私なんかよりも、良い人が現れたのかもしれない。
そしてデートしている姿を想像すると、私は途端に泣きたくなるような気分に苛まれた。
ピアノを弾いても、本を読んでも、勉強しても、庭を散歩しても、温室で過ごしても、私の妄想は止まることがなかった。
そして夕飯もあまり手をつけられなかった。
夕食後いつもの様にお父さんと暖炉の前に座っていると、私の我慢は等々、限界を迎えた。
「・・・・・今頃は女とホテルか?」
テーブルに頬杖をついて私を嘲笑うかのように、お父さんは突然そんなことを言い出した。
「・・・・まぁ、お前には関係ないか。」
そう言ってまた意地悪く笑うお父さんの言葉に、私は何故か涙が溢れた。