叶う。 Chapter3
きちんと伝えなければ、と思ったけれどあまりに苦しそうに咳をしているので、私は風邪が治ったらゆっくりと自分の気持ちを和也に伝えようと思った。
「ごめんね、具合悪いのに。元気になったら、連絡してもいい?」
“いつでも・・・大丈夫だよ”
「じゃあ、ゆっくり休んで。」
“うん、ありがと。明日には・・・下がると思うから。”
「うん、無理しないでね。ごめん、おとうさんの携帯だから、返すね。」
“りょーかい・・・”
私はそれだけを伝えると、お父さんに電話を返した。
お父さんはそれを受け取ると、また耳に携帯を当てた。
「何か大事な話があるみたいだぜ。明日?・・・って家には居るが熱下がらなきゃ来れないだろ?・・・・ああ、分かった。電話して来い。」
お父さんはそう言うと、携帯を切ってテーブルに置いた。
「自分できちんと話すんだな。あいつはお前には勿体無いくらいだ。」
お父さんはすっかり落ち着いた私の視線を捉えると、真剣な眼差しでそう言った。
私はその言葉にこっくりと頷いた。
「あんな若いのに、大したもんだぜ?あの男は。せいぜい他の女にとられないように気をつけるんだな。」
お父さんは楽しそうにそう言った。
私はそんなお父さんにとても感謝をした。