叶う。 Chapter3
だったら今、お互いに出来ることは、お互いの幸せを願うことだけなのだ。
ひょっとしたら、シオンもレオンも素敵な彼女が出来るかもしれない。
あれだけ完璧な兄達なのだから、きっと向こうでも女性に不自由なんてしないだろう。
それに私のように、本当に自分を想ってくれる人と既に出会っているかもしれない。
私はそれを願っているし、兄達が少しでも幸せを感じてくれることが出来たらそれで良い。
便りがないのは元気な証拠という諺があるくらいなのだから、きっと兄達もママも、辛いかもしれないけれど元気に過ごしてくれているんだと思う。
それに向こうは3人一緒だ。
いくら双子の父親があんな人間でも、毎日ずっと一緒に居るわけじゃないだろう。
私はママとレオンの口論を思い出し、ほんの少しの懐かしさとそれが今でも続いていることが何となく想像出来る気がした。
“うるさいくらいだ”と言っていたシオンの声を、私はまだきちんと覚えている。
だから私は家族の望むとおり、幸せに生きていかなきゃいけない。
私が幸せだと知ったら、家族はきっと喜んでくれるから。
例え遠く離れていても、きっと私達が過ごした8年間はいつまでも色褪せることなく私の記憶に深く刻まれているだろう。