叶う。 Chapter3




だけれど和也は直ぐに唇を離した。
何だかその仕草に凄く切ない気持ちになった。



「我慢出来なくなる・・・・もう時間だよ。」


和也はそう言って私の髪に指を絡ませると、もう一度だけ軽く唇を重ねた。
私は渋々ベッドから抜け出すと、和也に背を向けて脱ぎ散らかした制服を着込んだ。

そして和也もいつの間にか服を着て、絡まった私の髪を丁寧に櫛で梳かし始めた。
私は壁に掛けられた時計に視線を向けると、時刻は午後の4時半近かった。

和也に髪を梳かしてもらっている間に、私は美弥に電話を掛ける。


「美弥?もう直ぐ行くから。」


私が電話を切ると、和也も丁度私の髪を梳かし終わり私の鞄を持って、私が忘れ物をしていないか部屋をチェックした。

別に忘れて困る物もないのだけれど、最近の私達にはあまり時間がないのだ。

私が立ち上がりドアの前に立つと、和也はドアに手をついた。

私は不思議に思って見上げると、和也は前屈みになってもう一度だけ私にキスをしてから、部屋の扉を開けて私と手を繋ぐと階段を降りた。


「お邪魔しました。」


私はそう言ったけれど、この時間は和也の家族は居ないので勿論返事は無い。
だけれど私は何故か毎回そう言ってしまう。


玄関を開けると、家の前には既に美弥が運転する車が停まってた。





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