叶う。 Chapter3
私はまたお父さんとソファに向かい合って座った。
「旦那様、お飲み物は?」
すると直ぐに家政婦さんの一人近づいて来てがそう聞いた。
「コーヒー。」
「かしこまりました。お嬢様は?」
お嬢様という呼ばれなれない言葉に一瞬躊躇したけれど、お父さんはそんな私を目を細めて睨む。
「お、同じ物で。」
私は慌ててそう言った。
「かしこまりました。」
家政婦さんはそう言うと、直ぐにキッチンに向かって歩いて行った。
お父さんは家政婦さんがキッチンに向かったのを確認すると、大きく溜息を吐いて小さな声でこう言った。
「お前は俺の娘だ、だからこの家でのお前の立場は俺の次に偉いという事になる。もっと堂々としていろ、俺が舐められるだろうが。」
「ご、ごめんなさい。」
私がそう言うと、お父さんの目付きが少しだけ和らいだ。
「そういえば、お前彼氏がいるらしいじゃねぇか?」
お父さんは突然思い出したかのようにそんな事を言った。
「え?・・・何で知っているんですか?」
驚いた私の顔がおかしかったのか、お父さんは口角を片方だけ上げてにっと笑った。
「色々と知ってるさ。」
その言葉に、私は途端に不安になった。
和也や凛達に、とてもじゃないけれどお父さんと関わって欲しいとは思えない。