叶う。 Chapter3
「僕は中学を出てから、イギリスの音楽専門の学校に留学してたんだよ。だから日本では高校に行っていないんだ。」
奏先生は相変わらず柔らかい口調でそう言った。
私は奏先生の言葉に驚いて、思わず目を見開いた。
「い、イギリスに、そんな学校があるんですか?」
「ん?イギリスだけじゃないよ。世界中にある。僕は偶々イギリスに行ったけど、ヨーロッパ各地に音楽学校はあるし、多分アンナちゃんが受ける高校でも、夏期講習とかで海外の音楽学校に行く機会はあると思う。」
「それって、入るのは難しいんですか?」
「うーん、難しい場所もあれば、簡単な場所もある。だけど難しい場所に受かればそれだけ先生のレベルも高くなる、だからどうせ留学するならそれなりの場所に行かないと、正直お金の無駄だよ。」
「そう、ですか・・・。」
私は何だか少しだけ動悸がするような気がした。
「だけどどっちにしろ、今からじゃ間に合わないよ。」
先生はほんの少し困った表情を浮かべてそう言った。
「・・・間に合わない・・ですか?」
「うん、間に合わない。僕が音楽で留学を決めたのは中学に入って直ぐだった。それでも、ギリギリだったからね。音楽で留学したいと思うなら、最低でもそれくらいの準備期間が必要ってこと。」
奏先生の言葉に、私は酷く落胆した気分になった。