叶う。 Chapter3
「とにかく、準備をしろ・・・。学校なんかは俺が連絡を入れておく。少し落ち着いたら、朝一の便で向こうに向かう。あの人は気が短いからな、待たせて機嫌を悪化させるのは宜しくない。」
お父さんの言葉に、双子の父親が機嫌が悪いんだということが分かった。
私は何をされるんだろうか。
生きて帰って来ることが、出来るんだろうか。
そう考えると私は何故か、突然頭が冷静になって行くのが分かった。
自分の血を引いた家族ですらを簡単に殺す人間に呼び出されて、無事でいられるわけがない。
自分が死ぬのが怖いかと聞かれたら、正直に怖い。
だけれどそれは運命だ。
決まっていることならば、私はそれに従わなければいけない。
だけれど、最後に家族に会えるのかもしれない。
私はそう思うと、何故か急に気持ちが楽になった気がした。
家族に会うことが出来たら、私はそれで良いと思った。
私の一番の願いは、家族に会うことだったのだから。
願いを叶える代償が、この命を失うことならば、きっとそれも私の運命なのだ。
そう考えると、不思議と恐怖心が薄らいだ。
私は少しずつ、落ち着きを取り戻した。
そして自分がやっておかなくてはいけないことをしておこうと思い、お父さんからそっと身体を離した。