叶う。 Chapter3
“美弥さんも美人だからね、ほんとに気をつけて行って来てね。まぁ、寂しくなったら別に連絡とれるしね。”
「・・・うん。和也?」
“うん?”
「・・・大好きだよ。」
“俺も大好きだよ。”
私の頬を涙がすーっと伝ったけれど、私はしっかりとそう伝えられた。
和也の優しい声音はいつもと変わらない。
それが余計に切なくなった。
「じゃあ、そろそろ寝ないと。明日朝一の便で行くみたいだから。」
“マジか、本当急で大変だな、りょーかい。ゆっくり休んでね。”
「うん、和也も無理しないでね。おやすみ。」
“はいよー。おやすみ。”
電話を切ると、途端に涙が溢れて頬を流れ落ちた。
だけれど大丈夫、悟られていない。
そんな私に美弥は黙ってハンカチを差し出してくれた。
そう、泣いてる暇なんかない。
「ねぇ、美弥。」
「・・・何でしょう?」
「お願いがあるの。」
私はそう言って、美弥に先程書いた手紙と封をした日記を手渡した。
「もし・・・私が、その・・・ここに帰って来ることが出来なかったら、これを開けて欲しいの。そしてこの中にある日記を家族に渡してくれる?」
私がそう言うと、美弥は一瞬目を伏せた。
「・・・・分かりました。」
美弥は今まで聞いたことがないくらい、小さな声でそう言った。