叶う。 Chapter3
「・・・・・・それは・・・・」
「リサが入院して直ぐに、あいつから連絡がきたんだよ。あんなガキだったのに、今はボスそっくりになっちまったな。」
「・・・・・・。」
「あいつはお前の幸せだけを願ってたよ。お前はいきなり家族を奪われて自暴自棄になっているのかもしれねぇが。少しはあいつの気持ちも酌んでやれ。」
「・・・・でも・・・私は・・・。」
「まぁ、お前がしたいようにして気が済むならそれで良い。だけどあいつはそれを望んでない。それを忘れるな。人生なんでも自分の思い通りにはならねぇよ。」
「・・・・・。」
「お前があいつに会いたくてどんなに努力しようが、未来のあいつはお前に会いたくないと望んでいるかもしれないだろ?人間の心は変わるもんだ。」
確かにその通りなのかもしれない。
もし私が努力して家族に会いに行けたとしても、もしもその時シオンが他の誰かを愛していたら?
家族が私を受け入れてくれなかったら?
時間が経てば人の心は変わるものだと、頭では理解出来ているけれど今はまだ納得する事は難しい。
「どっちにせよ、後悔するくらいならやりたいようにやれば良い。それより彼氏良い男らしいじゃねぇか?今度ちゃんと紹介しろよ。お父さんにな!」
お父さんはそう言うと、不適に笑った。
私は何だかとても寂しい気持ちになったけれど、やっぱり涙は見せなかった。