叶う。 Chapter3
「・・・・結はここに眠ってる。」
私はゆっくりとその場所に近づいた。
まだ小さなその石棺の中に、きっと結さんが眠っているのだとそう思ったからだ。
石棺の前に跪くと、両手を組んで祈りを捧げた。
小さな結さんが、安らかな眠りについていますように。
そして神の元で幸福な日々を過ごしてくれていますように。
俯き目を閉じて祈る私に、お父さんは肩にそっと手を乗せた。
「・・・お前は、結に似ている。初めてお前を見た時驚いたよ。栗色の髪も、琥珀色のその瞳の色も。」
そう言ったお父さんに、私は跪いたまま振り返った。
「きっと、リサも同じことを考えただろうな。結が、自分達の元に帰って来たのだと。」
お父さんの言葉に、正面ではにかんで笑うその子の顔をじっと見つめた。
自分では分からないけれど、確かに私の髪はずっと栗色だった。
アンバーカラーの瞳はあまり好きではなかったけれど、写真で笑う結さんの瞳はとても美しいと感じる。
今はシルバーブロンドにブルーの瞳にしてしまった自分が、何だか酷く勿体無いことをしてしまった気がした。
だけれど私は結さんにはなれない。
私はゆっくりと立ち上がると、お父さんの目の前に立った。
そして顔を上げると、お父さんの瞳をじっと見つめた。