叶う。 Chapter3
「もしも、お前に・・・・何かあったら・・・。」
お父さんはそう言って優しく私を抱き締めた。
「・・・結と一緒にこの場所で眠ってくれるか?」
お父さんの声は聞いた事がないくらいに苦しそうだった。
ぎゅっと私を抱き締めたその腕が、微かに震えてる。
その悲痛な声に、私は黙ったまま頷いた。
こんな素敵な場所で、お父さんに見守られながら永遠の眠りにつけるのなら、それだけで幸せだと思う。
それに血の繋がりはないけれど、結さんと共に居させてもらえることは、何だか本当の家族にさせてもらえる気がして、私はとても嬉しかった。
「ありがとうございます。」
私は未だに私を抱き締めているお父さんのお腹に両腕を回してぎゅっと抱きついてそう言った。
凄く悲しいのに、何故か心はとても冷静だった。
そしてとても温かかった。
「・・何かあったら、必ずお前をここに連れてくる。」
「・・・お願いします。」
私がそう言うとお父さんは私頭の天辺にキスを落とした。
その仕草にお父さんを見上げると、お父さんはいつもの冷たい表情に戻っていた。
「本来なら、きちんと埋葬するべきなんだがな。この場所は美しいだろ?」
「はい、とっても。」
私は笑顔でそう言った。