叶う。 Chapter3
城の中はこれでもか、と言うほど広かった。
その長い廊下だけでも薔薇の家の3倍はありそうだ。
きっとここの何処かにママ達が居るはずだけれど、それを探し当てるのは恐らく無理だろう。
全面硝子張りになっている廊下からは、外の様子が良く見える作りになっていたけれど、私は真っ直ぐに前を向き、メイドの後を追った。
きちんと背筋を伸ばし、顔に感情を出さないように歩くのは結構神経を使う。
だけれど今の私は狩られる側だ。
しかもここは相手側の縄張り。
何処から見られているか分からない。
そう思うと、身体が自然と緊張しているのが自分でも良く分かった。
だけれど私は一切の感情を出さないように気を付けながら、ただメイドの後ろ姿を追い掛けた。
結構な距離を歩いた気がする。
私と美弥が前後左右をメイドに挟まれながら、廊下を歩いていると、先頭を歩いていたメイドが漸く立ち止まった。
その場所は立派な木で出来た大きな扉の前だった。
メイドはそのままその扉を開くと、私達に頭を下げて中に入るように促した。
私は少し緊張したけれど、そのままその部屋に足を踏み入れた。