叶う。 Chapter3
その室内はとても広くて天井もとても高かったけれど、部屋の中は高そうな家具類以外は至って普通の部屋だった。
天蓋付きのベッド、大きな洋服ダンス、シェルフ、ドレッサーに、テーブル、薔薇の家のリビングに置かれたソファと同じくらい大きなソファには、真っ赤なドレスが置かれていた。
その床にはゴールドのピンヒールのサンダルがあり、私は一瞬それに視線を向けた。
「では早速ですが、お着替えとメイクをさせて頂きます。」
お断りしたい気分は山々だったけれど、私は黙ってされるがままに服を脱がされて全裸にさせられる。
知らない人に裸にされるなんて思ってもみなかったので、私は酷く恥ずかしい気分になったけれど、顔には一切出さずにされるがままだった。
メイド達は二人がかりで私に真新しい下着とドレスを着せると、私を椅子に座らせブーツを脱がせてゴールドのサンダルを履かせた。
私は何だかとても奇妙な気持ちになった。
それはこのドレスも、サンダルも、まるで私の為に作られたかのように身体にピッタリだったからだ。
私は身体が細いし、背も小さい。
だから、市販のドレスは大抵サイズが合わない。
だけれど、何故かこのドレスは私にピッタリとフィットしている。
それに若干斜めになったドレスの裾も、このヒールを履くと何故かギリギリ地面に着かない。