叶う。 Chapter3
私がじっと鏡を見つめている横で、美弥は何故か携帯を取り出してうろうろと部屋中を歩き回っていた。
私はそんな美弥が一体何をしているのか意味が分からなくて、鏡越しに美弥の行動を見つめた。
美弥は携帯を見ながらうろうろすると、途中で立ち止まり、暫くしてまたうろうろと歩き出す。
見慣れない美弥のその動きは何だかとても不安になったけれど、私は大人しくそんな美弥を見つめ続けた。
そして漸く、美弥は私の方を向くとやっと小声でこう言った。
「どうやら盗聴はされてないようですが、カメラがあるかもしれませんのでおかしな行動をされないように。」
私は美弥の言葉に黙ったまま頷いた。
そして美弥と一緒にソファに座って、お互い表情を変えないように気をつけながら小声で話をした。
「どうして、盗聴されてないって分かったの?」
「携帯です。携帯と言っても、これは携帯ではないのです。ですがこういう時は便利です。それよりも・・・・」
美弥はそう言うと、窓の外にまた視線を向けた。
「この場所は完全に逃げられない作りになっています。」
美弥の言葉に黙って頷く。
「鍵も閉められたしね・・・。」
私がそう言うと美弥も困ったように眉を顰めた。