叶う。 Chapter3




「・・・お嬢様は本当に優しい方です。」


美弥はそう言って急に静かになった。

私はそれには返事をせずに、お父さんやシオンと同じように表情を作らずに真っ直ぐに前を向いたままだった。
なんとなく、見られている気がする。


部屋には美弥と2人きりのはずなのに、さっきから視線を感じる気がするのは、気のせいなんだろうか?

神経が過敏になっているからなんだろうか?
だけれどそれは美弥も感じていたようだ。


「・・・・視線を感じます。」


まるで聞かれるのを恐れるように、美弥は本当に小さな声でそう言った。



「・・・・私も・・・。」


私はそう言って美弥の手を離すと、真っ直ぐに前を向いて目を細めた。

見られている気配はするんだけれど、それが何処からかは全く分からない。


だけれど間違いなく見られているんだろう。
だからおかしな動きはしないように、私と美弥はそれから一切口を聞かなかった。


長い沈黙に居心地が悪くなる。

すっかり日が落ちて暗くなり始めた室内に、突然天井に下げられたシャンデリアが光を灯した。


美弥が一瞬だけビクリとしたのが分かったけれど、私は一切動じなかった。
きっと自動で点くようになっているのだろう。


そう思った瞬間、部屋中の照明が次から次へと光を灯し始めた。







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