叶う。 Chapter3
私は久しぶりに見るママの姿に、泣きそうになったけれど何とかそれを堪えた。
ママはやっぱり凄くやせてしまった気がした。
それに何だか顔色が良くない。
双子の父親はそんな私の視線に気がついてしまったのか、突然大層嬉しそうにこう言った。
「折角遠くから来て頂いたのに申し訳ないが、リサは今あまり具合が良くなくてね。大事な時期なんで休ませても構わないかね?」
そう言って私とお父さんを交互に見つめる。
大事な時期?
「お構いなく。どうぞお大事に。」
お父さんは相変わらず感情を一切出さずにそう言った。
お父さんがそう言うと、メイドが2人がかりで震えるママを立ち上がらせる。
その瞬間、一瞬だけママと視線が合った。
ママは今にも泣き出しそうな憔悴しきった瞳で私を見つめると、直ぐにメイド達に連れられて部屋を出て行った。
ママが行ってしまうと、双子の父親は何でもない風にこんなことを言い出した。
「5ヶ月に入ったところでね。嬉しいことにまた男の子だそうだ。」
私はその言葉に思わず硬直した。
そして直ぐにお父さんの前でそう言った双子の父親を、殺してやりたいくらいの憎しみが込み上げる。
思わず呼吸が荒くなった。