叶う。 Chapter3
「それは・・・おめでとうございます。」
お父さんは全くの感情を出さずにそう言った。
私なんかよりお父さんの方がよっぽど腹が立っているだろうけれど、その声音は静かで全く感情がこもっていなかった。
私はそれで少しだけ平静を取り戻した。
お父さんの方がよっぽどこの人を殺したいほど憎んでいるはずなのに、冷静に対処している。
私は昇りかけていた血液が、すーっと頭から引いていくのを感じた。
やりあうことはしてはいけない。
何があっても冷静でいなきゃいけないのだ、ともう一度心に深く命令する。
双子の父親はそんな私達を見て、心底楽しんでる表情を浮かべていた。
私は何とか平常心を取り戻し、食事をすることだけに集中し始めた。
味なんか全くしなかったけれど、これ以上この場所に長居したくない。
さっさと済ませて、双子の父親の本来の目的は何なのかを知りたい。
お父さんに子供が出来たということを伝える為だけに、この場所に私達を呼んだ訳がない。
それはお父さんに対する嫌味程度にそう言っただけであって、きっと本来の目的は違うんだろう。
私が来なければならなかった理由。
さっき双子の父親はこう言った“君がいなければジャスティンは完璧にはなれない”と。