叶う。 Chapter3
私は両手を組んでじっとシオンの、その蒼く澄んだ優しい瞳を見つめた。
大丈夫。
シオンは壊れてはいなかったのだ。
アンナを見つめていた瞳を、最後に私に向けてくれている。
その瞳は温かくて、私は涙が頬を伝って流れ落ちるのを感じた。
カチャリと音がして、シオンが拳銃のハンマーを下げたのが分かった。
そしてその指がトリガーに掛ったのを確認すると、私はゆっくりと瞳を綴じた。
最後までシオンの瞳を見つめていたかったけれど、それだとシオンがやりにくいだろうと、単純にそう思ったからだ。
最後にママとレオンと少しだけでも良いから話をしたかった。
だけれどシオンの優しい眼差しを見れただけで、何故か私の心は満たされた。
私は頭の中でさっき弾いたレクイエムを奏でる。
刻々と迫る最後の時を、私はじっと待った・・・・・。