叶う。 Chapter3
「いつから私を欺いていた?」
「・・・別に欺いてはいない。」
「だが、どっちにしろその女は助からない。お前が例えこの場を凌いでもな。」
「・・・・・。」
「その女に逃げ道はない。ここで終わらせるか、それとも別の場所で終わらせるか、それだけの違いだ。」
「・・・・・・・・。」
「何故そんなに執着する?・・・そんなにその女を庇いたいなら、いっそのこと自らの手で神の御許に送り出してやるのも愛情だ。」
「・・・俺はあんたとは違う。」
シオンの言葉に、双子の父親が憎々しげに悪態を吐いた。
「・・・・勝手にすればいい。だが、この状況からどうやって逃げるつもりだ?勿論、お前のことだから先のことまで考えているんだろ?」
双子の父親は椅子に深く座り、両手を組んでこちらを眺めながら楽しそうにそう言った。
すると、今まで無表情で椅子に座っていたレオンが何故か突然立ち上がった。
そしてゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。
視線が合うと、レオンはにっこり笑って何故かウィンクした。
こんな状況の中、そんなことをするレオンの行動は意味が分からなかったけれど、双子の父親はそんなレオンに呆れたようにこう言った。