叶う。 Chapter3
そしてそんな私は、ひどく混乱している。
自分が置かれている状況も、シオンと父親の会話すらもよく意味が分からない。
レオンは私を支えたまま、そんな二人の会話が終わるのをじっと待っている。
「なるほど、面白い。」
双子の父親はそう言って目を細めて私をじっと見つめる。
「……そんなにその小娘が大事なのか?自らの命を掛けるまで、その小娘に価値があると。」
「…………。」
「ならば何故、自らの手で楽にしてやろうと思わないんだ?」
父親のその言葉に、シオンは微かに小さな声で囁くようにこう言った。
「・・・・ハンナ。」
シオンがそう言うと、双子の父親はハッとしたように目を見開いた。
それは酷く動揺した様子に見えたけれど、双子の父親は直ぐにいつもの鋭い視線で私を睨んだ。
さっきまでの弁舌が嘘みたいに、何故か双子の父親はそれ以上口を開くことが出来ない様子でこちらを睨み続けている。
「あんたと地獄に堕ちるのは俺一人で充分だ。他の全員はこのまま見逃してもらう。」
シオンはそう言って、更に自分の頭に銃口を押し付けた。
今、ほんの少しでも誰かが動いたら、間違いなく引き金を引けるようにしっかりとトリガーに指を掛けている。
多分数ミリ動かせばその銃弾はシオンの頭を撃ち抜くだろう。