叶う。 Chapter3
緊迫した空気が辺りを包み込む。
多分だけれど、シオンが本気だということをここにいる全員が気がついているのだろう。
私はお父さんを一瞬ちらりと見たけれど、お父さんは無表情のまま頭を抱えてた。
私はひどく混乱していて状況が全く分からなかった。
自分が生きていることすら、何故か理由が分からない。
ただ1つだけ分かるのは、双子の父親がとても怒っているということだけだった。
その怒りは部屋中に広がる空気を伝って、徐々に私を包み込んでいく。
私は言い知れぬ恐怖が膨れ上がって、正常な判断すら出来なかった。
「・・・門を開けて車を。」
シオンはもう一度、父親を見下ろしながら威圧感たっぷりにそう言った。
「・・・・・・言う通りに。」
双子の父親は吐き捨てるようにそう指示を出し、私をもう一度目を細めて憎々しげに睨むと、諦めたように椅子に深く座り両手を組んで目を閉じた。
「美弥。一緒に。」
レオンは私を抱えたまま美弥にそう言ったけれど、私は未だ自分の頭に銃口を押し付けて父親と対峙しているシオンから視線を外す事が出来なかった。