叶う。 Chapter3
頭の中には私を見つめるシオンの瞳が鮮明に蘇り、途端に胸が苦しくなった。
私のそんな気分なんてお構いなしに、レオンは長い廊下を私を肩に担いだままひたすら走ってる。
美弥も周りに慌しく視線を走らせながら、その後を追ってくる。
やがてレオンは息を切らせながら、やっと玄関に辿り着いてその場所に私を降ろした。
そして私は地面にペタンと座り込むと、やっと自分の置かれている状況を理解し始めた。
「・・・アンナ。」
その時、小さくそう呼びかけられて顔を上げると目の前にママが立っていた。
ママは私の側に跪くと、そっと私の頬に震える手を添えた。
「マ・・マ・・・。」
私は咄嗟にママにぎゅっと抱き着いた。
少しだけ痩せてしまったママはそんな私をぎゅっと抱き締める。
ママのお腹が少しだけ大きくなっている気がしたけれど、今はそれどころじゃない。
「お2人とも、悪いけど感動の再会は後にして!」
レオンはそう言うと、美弥に何かを手渡した。
それから私とママを立ち上がらせて、胸ポケットから拳銃を取り出すとそれを持ったまま玄関に立ち塞がる大勢の警備に向かって真っ直ぐ歩いていく。