叶う。 Chapter3
警備達は耳元を押さえながら何かを喋っている。
きっとインカムかなんかで、この状況をどうするべきなのか連絡を取り合っているんだろう。
「・・・・どかないと殺すよ。」
レオンは酷く冷たい声で、その場所にいる全員に聞こえるようにそう言った。
何人かが、その威圧感に圧されたのか道を開ける。
私はママと手を繋ぎ、美弥はそんな私達を庇うように目の前でレオンと同じように銃を構えてる。
レオン対警備の無言の攻防戦はしばらく続いていたけれど、この城の主から指示があったのか、警備達は玄関を開けると銃を下げて後ろに下がった。
警備の側を通る時、一瞬殺されるんじゃないかと冷や冷やしたけれど、誰も何もしてこない。
それはきっとシオンが時間を稼いでいてくれてるからなのだと思うと、私は胸が締め付けられるほどに苦しくなった。
だけれど隣にいるママの手が、微かに震えている気がしたので私は何とか冷静さを保っていた。
まさかママも一緒だとは思ってもみなかったので、何故かママを守らなくてはと、単純な私はそう思ったからだ。
玄関を通り過ぎると、目の前には行きに乗ってきた車とは違う車が止まっていた。
それは街中でも良く見かける普通の高級車だった。