叶う。 Chapter3
車の周りにも沢山の警備がいたけれど、指示がいったのか直ぐに全員道を開けた。
レオンは相変わらず拳銃片手に周囲に視線を配りながら、車の後部座席に私とママを乗せた。
「美弥、運転頼む。」
レオンの言葉に、同じように周りに視線を配っていた美弥が運転席に乗り込みエンジンを掛ける。
レオンはそれを確認すると、素早く助手席に滑り込むように乗り込んだ。
「空港だ、飛ばして!」
レオンがそう言ったと同時に、車は猛スピードでその場所を走り抜ける。
どんどん加速していく車の中で、私は後ろを振り返った。
段々と離れていくその城に、何故か涙が溢れて止まらなかった。
やっと会えたのに、あんなに近くにシオンが居たのに。
その距離がどんどん離れていく。
それは私の涙腺を刺激して酷く心を乱したけれど、繋いだママの手が震えていたので、私は必死に涙を堪えようと俯いた。
私がしっかりしなければ。
横に座るママのお腹は間違いなく別の命が宿ってる。
例えそれが双子の父親の子供だろうと、命に罪はない。
身重のママを不安にさせてはダメだ。
私は何故かそう考えると、自分の頭が冷静になっていくのが分かった。