叶う。 Chapter3
レオンはそんな私の心が読めているかのようにこう言った。
「シオンは大丈夫だよ、ただの時間稼ぎだから。それに俺もまた戻るし。だから心配しなくていい。」
私はその言葉に少しだけ安心した。
レオンが大丈夫と言ってくれるなら、きっと大丈夫なんだろうと思う。
だけれどまた戻ると言ったレオンに、私は何故か悲しみが増す。
レオンは一緒に来るのかと思っていたので、シオンだけではなくレオンまでもがまた居なくなってしまうのかと思うと余計に切ない気分になる。
「アンナは、母さんと一緒にアメリカに行ってもらうよ。その為に色々と準備してあるからね。」
レオンはそう言って自分のジャケットの中を探ると封筒を取り出した。
それは一体何処に隠していたんだろうかと思うくらい大きめな封筒だったけれど、振り向きざまにそれを渡されたので、私は黙ってそれを受け取った。
「新しい身分証とか、パスポートとか色々入ってる。だから絶対に無くさないで。それと新しい家の鍵も入ってるし、暫くは大丈夫だと思う。」
私は渡された封筒をそっと開くと、中身をちらりと確認した。