叶う。 Chapter3




私は受け取った封筒から、パスポートを取り出した。


“Alice Kanau Clark”

それは正真正銘のパスポートで、何故か今の私の写真がきちんと載っている。

だけれど私の名前も、ママの名前もリズ・クラークに変わっているし、私に至ってはファーストネームがアリスに変えられていた。


どうやってそんなことをやってのけたのかは分からないけれど、何故か二人ともアメリカ国籍になっている。


そんな私の疑問を察知したかのように、レオンは何でもない風にこんな事を言い出した。


「アンナは今日からアリスだよ。だから、名前は間違えないようにね。母さんもね。」


「ねぇ・・・これって、どういうこと?私達これからどうしたら良いの?」


「クラークさんは、アンナのお父さんだよ。会ったことはないだろうけど。それにもう生きてないし。」


「・・・え?」


「とりあえず説明している時間がないから、空港に着いたら急いで中にあるチケットでとりあえずアメリカへ。」


レオンがそう言ったのは、車がもう郊外から街へと移動し始めた時だった。

信号で止まるたびにレオンは少しイライラしている様子だったので、私は意味すらよく理解出来ないまま大人しく頭の中を整理した。




< 236 / 240 >

この作品をシェア

pagetop