叶う。 Chapter3




ママと一緒にアメリカに行くのは分かった。

そして何故か名前が変わっていることも理解出来た。


だけれどそれをどうやってやったのか、私にはどう考えても理解が出来なかった。


それにシオンのことが気になって仕方ない。

何かされてるんじゃないかとか、ひょっとしたら自分の頭を撃ち抜いてしまったんじゃないかとか、嫌な想像ばかりが混乱した頭に浮かんでは消えていく。


自分でもまさかこんな結果になると思ってもみなかったので、心は酷く不安定で今にも崩れ落ちそうだ。


だけれどゆっくりと考えている時間は、今の私達にはないのだ。



「アリス、もう直ぐ空港に着くから着替えて。トランクに着替えと鞄が置いてあるから。」


レオンのその言葉に、私は自分が着崩れしかけたドレスに素足であることに気がついた。

ママは少しゆったりとしたワンピースを着てストールを巻いているからそのままでも行けそうだけれど、こんな姿の私は絶対に空港で止められるだろう。


私は言われた通りに後部座席からトランクを覗き込むと、何故か私の持ってきたトランクと美弥の持ってきたバッグが置かれていることに気がついた。





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