叶う。 Chapter3
何故ここに私達の荷物が置いてあるのか、私は不思議に思った。
だって飛行機を降りた時から、既に私はそれを見掛けてすらいなかったし、それに先程着替えさせられた服もブーツも何故かその場所に乱雑に置かれている。
「……これって。何であるの?」
時間が無いのは分かっているけれど、私はついつい疑問を口にする。
「持って来たから。」
「ど、どうやって?」
「あの家の人間全てが、親父の言いなりな訳じゃない。だからだよ。」
レオンは少しだけイライラしたようにそう言うと、早く着替えるようにと、私を促した。
私はワンピースを手に取り、頭からそれを被ってドレスを下から引っ張り出して脱いだ。
そしてお父さんが買ってくれた真っ赤なトレンチコートを手に取り、ブーツを履く。
私が着替え終ったのを確認すると、レオンは若干早口でこう言った。
「とりあえず家と車は用意してある。空港を降りたら直ぐにタクシーでその家に向かって。それとこっちから連絡入れるまで、大人しくその家に居て。」
レオンはそう言うと、振り返って私の顔を見つめた。
真面目な顔をしたレオンは何だか見慣れないので、私は少しだけ不安になる。