叶う。 Chapter3
それに気付いた私はある事を思い出した。
それは明日和也と一緒に水族館に行く約束をしていた事を思い出したのだ。
そして9時に迎えに来ると言っていた和也の言葉を思い出し、その家に今は誰も住んでいない事を和也は知らないこともついでに思い出してしまった。
私はとりあえず自分の使っていた携帯を取り出すと、時間を確認した。
時刻は夕方の5時を少し過ぎたくらいだった。
私は祈るような気持ちで画面に映し出された和也の番号をタッチすると、携帯を耳に押し当てた。
呼び出し音が鳴った瞬間、私は思わずほっとして息を吐き出した。
良かった、まだ解約はされていないみたいだ。
だけれど解約されるのも時間の問題だろうから、私はまたお願いしなきゃいけない事に思わず溜息を吐いた。
その瞬間、突然電話が繋がった。
“はい?”
突然聴こえた和也の声に、思わず携帯が手から滑り落ちる。
それはソファを伝って、ガンと音を立てながら床に打ち付けられた。
私は焦ってそれを拾い上げると、直ぐに耳に携帯を当てた。
“かなう!?おい?大丈夫か?”
電話口から、和也が心配そうに呼びかけているのが聞こえて来た。