叶う。 Chapter3
「ごめん、大丈夫。ほんとにごめん、携帯落としちゃった。」
“マジか、すげぇ音したからビックリしたよ。何かあったのか?”
電話口から聞こえてくる和也の声に、何故だかすごく安心した。
だけれどのんびり会話をしている時間はない、いつこの電話が使えなくなるのか分からないからだ。
「あ、あのね、時間がないから手短に言うね。」
“うん?”
私はお父さんに言われた通りに、和也に今の状況を説明する。
「実はね、両親が離婚することになったの。それでね、私はお父さんに引き取られる事になって・・・」
“え!?どういうこと?かなうお父さん居たの!??”
「ママと兄達はママの実家に戻ったの。私はお父さんと、日本で暮らすことになって・・・」
“っていうか、かなうお父さん居たの?マジで言ってる?”
「うん、正確にはママの元旦那さんなの。だから血の繋がりもないし一緒に住んでなかったけど、あのね、この携帯いつ使えなくなるか分からなくて。」
“つーか、かなう大丈夫なの?今何処にいるの?”
和也の声音が若干焦ってるように聞こえる。
それはそうだろう、なんせ昨日までは色々あったけれどこんな事になるとは私自身すら気付いてなかったのだから。
「今は、引越し終わってお父さんの家に居るの。」
“ちょっと待って、俺ダメだ、意味が分からないよ。”