叶う。 Chapter3
私だって意味が分からないよと言いたいけれど、今はとにかく和也にきちんと話を伝えなければ。
「それでね、この携帯がいつまで使えるか分からなくて・・・」
“っていうか、お父さんの家何処なの?お父さんって誰なの?会って話そう。”
「・・・・・・。」
私はこの家の住所を知らない事に気がついた。
それに、この家を和也に教えたりしても良いのかすら私には分からない。
“かなう?”
「うんと、ごめん。さっき家に着いたばっかりで住所とか分からない。」
“それ本当に言ってる?ダメだわ、心配過ぎて俺、通報しそう”
和也の言葉に、どれだけ心配してくれているのかが分かったけれど、通報なんかしようものならお父さんはきっと大激怒ものだろうと微かに思った。
「あのね、和也。大丈夫なの、本当に、だけど携帯がいつ使えなくなるか分からないから、もし途中で切れても心配しないで。」
“そんなの無理に決まってるだろ!?何処にいるかも分からない、連絡もつかない、いきなり知らないお父さんの家にいるじゃ、気が狂うよ”
和也は珍しく少し怒った口調でそう言った。
「分かった、じゃあ明日学校の駅に必ず行くから、その時にちゃんと話するね。だから心配しないで。」
ここに来る時に学校の駅が見えたから、そう遠くはないだろうと単純にそう思った。