叶う。 Chapter3
階段を降りると、段々と目が覚めてきた。
そして気づいた事がある。
さっき、お父さんはマスターキーを持っていると言っていた。
昼間は引きこもって良いなんて言っておきながら、勝手に部屋に入ってきた。
だから、大事な物は常に自分で隠しておかなきゃいけないのだと、そんな事を考えさせられた。
別に見られて困る物も特に無いのだけれど、何だかんだ言っても私も女の子だ。
しかも年頃の女の子の部屋に、いくら姿が見えないからと言って勝手に入って来るのは出来ればご勘弁願いたい。
リビングに続く扉を開いたお父さんの後ろ姿を見ながら、私は怒らせない程度に言っておこうと思った。
流石に家政婦さんが居る前では言いにくかったので、リビングに入って直ぐに、私はお父さんの着ているワイシャツの背中をそっと捕まえた。
その瞬間、心臓が止まるかと思った。
お父さんは立ち止まった瞬間、急にしゃがんだと思ったら、一瞬にして立ち上がり私の眉間にぴったり銃口を押し付けていた。
全ての動作が一瞬で、私は何が起こったのかすら判断がつかなかった。
真っ直ぐと向けられた銃口に、迷いのない瞳はなぜか青く見えた気がした。
その瞳を見た瞬間、私は気がついた。