叶う。 Chapter3
お父さんは立ち上がると、優しく私の腕を掴んで大きなダイニングテーブルまで連れて行き、上座の隣にある椅子を引いて私を座らせた。
そして自分もその隣に座った。
テーブルには綺麗な銀で出来た燭台がいくつか置かれていて、蝋燭の炎がゆらゆらと揺らめいていた。
ゆっくりと揺れている炎を見つめると、何故か心が少し落ち着いてきた。
私達が席に着くと、奥から家政婦さんが料理を順番に運んできた。
それは前菜から順番に運ばれてきて、お父さんは両手を組むとお祈りをした。
私はそれを見て、同じように手を組んで祈りを捧げた。
出てくる料理はまるで高級レストランでの食事みたいで、私は何だか落ち着かなかった。
だけれど、お父さんの食事の仕方はシオンみたいに完璧だった。
だから私はさっきの出来事で食欲は完全に無かったけれど、何とか綺麗に食事をする事に集中した。
お父さんよりは時間がかかってしまったけれど、何とか綺麗に食事を終える事が出来た。
私が食事を終えると家政婦さんがやって来て、空いてるお皿を片付け始めた。
「旦那様、お飲み物は?」
「ウィスキー。」
「お嬢様はいかが致しますか?」
「紅茶を下さい。」