叶う。 Chapter3
「それで、その居場所がママの両親にばれたの。そしてママと兄達を連れて行ってしまった。私は本当の子じゃないから、ママがお父さんに私の面倒を頼んだの。」
私がそう言うと、和也はすっかり頭を抱えていた。
多分、私が和也でもそうするだろうと思う。
「じゃあ、さ・・・かなうはママさんの両親に何か言われたりしなかったの?」
「言われたよ。もう2度とママ達と関わりを持つなって。会いたければ、ママの家に相応しい人間になれって。」
「それ、ほんとに?何だよ、そんなのおかしいだろ。」
和也はさっきまでの怒りはどこかへ消えていってしまったかのように小さな声でそう言った。
だけれど私は嘘を吐いた罪悪感と、双子の父親を思い出して何だか気分が悪くなった。
「でも、お父さんが面倒見てくれてるから。」
和也の落ち込みように何だか申し訳なくなって、私はそう言った。
「そんなことがあったんだ・・・ほんとごめん・・・俺、かなうが心配で心配で、そんな大変なことがあったのに、何もしてやれなくて、本当にごめん。」
頭を抱えて呟くようにそう言う和也に、更に申し訳なさが募る。
和也はしばらくじっと俯いて考えているみたいだった。
深く詮索されたくない私は、和也に何を質問されても答えられるように、頭の中で繰り返し話を整理して、言ってはいけない事を言わないように口を閉ざしたままだった。