叶う。 Chapter3
「じゃあ、本当にもうママさん達に会ったり、連絡したり出来ないの?」
和也の言葉に私は何て答えていいか分からなかった。
会えないけれど、私は会うつもりでいる。
その決心は決して揺るがない。
こうして和也を目の前にしたら、平凡に生きることを少しは考えるかと思ったのも事実だけれど、やっぱり私の気持ちは変わらなかった。
「会えるよ・・・私が頑張れば。」
「・・・何を?」
「私が・・・ママ達の家族に相応しいと認めて貰えれば会えるよ。」
私はしっかりと和也の瞳を見つめてそう言った。
「それって、どういう意味?相応しいって・・・。」
「ママの家は、多分普通の家じゃないの。私も詳しくは分からないけど、多分普通じゃないくらいお金持ちの家なの。」
「それって、石油王とかそんなレベル?」
和也の言葉に思わず笑ってしまいそうになった。
普通の感覚からしたら、きっとそういうイメージなのかもしれない。
貴族なんて言われたって、日本じゃそうそうイメージなんて出来ないし、私だってそれを調べるまでは何も知らなかったのだから当然だ。
「石油王じゃないけど、普通の人が近寄れないレベルだと思う。」
私がそう言うと、和也はなぜか困ったように笑った。