叶う。 Chapter3




「ごめん……。」


私はもう、謝る事しか出来なかった。


「…………かなうは、それで良かったの?」


和也はもう私が何も言えない事を、ちゃんと分かってる。

多分、和也なりに私の身を心配しているからこそ、こうして色々と聞いてくるんだろう。
それに和也はいつでも私の事を一番に考えてくれる。

だからシオンも和也の内面を見抜き、お父さんに和也と一緒に居れば私は幸せなれると認める発言をしたのだ。
シオンは賢いし、何より先を見通す事が出来る人だったから、多分それは外れてないんだろうと思う。


そしてシオンは私の幸せを願ってくれている。

私もシオンの幸せを願っている。


その為には、もう一度シオンに会わないといけない。

シオンが本当に望む事は何なのか、私はちゃんとシオンに会って話さなきゃいけない。

それは私がシオンからアンナを奪ってしまった責任なんだ。


「どうしても……私は兄に会わなきゃいけないの。」


もう涙も流さなかった。

下手な言い訳や、嘘は余計に和也を苦しめる。


「だから、兄に会うまでは私はもう誰も好きになれない。和也の事は好きだけど、今は家族に会うこと以外考えられないの。ごめんなさい。」


私がそう言うと、和也はひどく傷付いた表情を浮かべた。

胸に針を刺されたみたいにチクリと痛んだけれど、私は和也から視線をそらさずに真っ直ぐ見つめ続けた。





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