叶う。 Chapter3
「かなうの気持ちは良く分かったよ。」
和也は寂しそうにそう言ったけれど、言葉を繋げた。
「だけど、お兄さんはそれを望んでるの?かなうが無理して何かわからないけど、そうしてまで自分に会いに来る事を望んでるの?」
私はお父さんの言葉を思い出し、言葉に詰まった。
「お兄さんは、かなうが辛い思いしてまで会いに来て欲しいと、本当に望んでいるの?」
「・・・・分からないよ。」
「俺がもし、お兄さんなら・・・かなうの幸せだけを願っていると思う。こんなこと、他人の俺が言っていいことじゃないのかもしれないけど。」
「・・・・・・。」
「かなうの気持ちも勿論大切だけど、お兄さんやママさんの気持ちもきちんと考えてるの?」
和也の言葉が胸に深く突き刺さる。
シオンと同じ言葉が、和也の口から出た事が私の視界を歪めた。
泣いてはダメだと、必死にそれを抑えたいけれど涙は勝手に頬を伝って私の顎まで流れ落ちた。
深く息を吸い込んで、涙を止めようと胸に手を当ててみたけれど、私の心臓がゆっくりと鼓動を刻んでいるのが指先から伝わってきた。
そのリズムはとても私の心を落ち着けてくれた。
そして私はある事に気がついた。
今更だけれど、和也とシオンに共通していることある。
それは・・・・