叶う。 Chapter3
私の幸せを願う、と言ってくれたシオン。
私を想い、お父さんに私を預けたママ。
レオンもきっと、私が幸せに暮らすことを望んでくれているんだろうと思う。
そして、そんな自分勝手な私の考えを諭してくれた和也。
私には、何が返せるの?
私には何がしてあげられるの?
皆が私の幸せを願ってくれているように、私も皆の幸せを願ってる。
私の幸せは家族と共にあると、私はそう思っていたけれど、それは間違いなのかもしれない。
家族を想えばこそ、私は家族に関わるべきではないのかもしれない。
家族が私に望んでいるのは、私が平穏無事な生活を送ることなんだ。
私はテーブルに肘をつくと、両手で頭を抱えた。
考えすぎて頭が痛い。
「・・・こんな時にこんな事言うのは卑怯かもしれないけど、俺はかなうがどんなにお兄さんを想っていても、それと同じくらいかなうは俺にとって大事な人なんだよ。」
私は頭を抱えたまま、和也に視線だけを向けた。
視線が合うと、和也はいつもみたいに優しく笑った。
「だからかなうがこんなに辛そうにしているの、見たくない。多分お兄さんもそう思ってると思うよ。だからかなうが、お兄さんに会いに行けるまで、傍で支えて居たいと思う。それはきっとお兄さんも許してくれると思う。」
「・・・・・・。」