叶う。 Chapter3




「ごめんね・・・・。」


私は静かにそう口にした。
もう何度目か分からない謝罪の言葉に、自分自身がうんざりするほど頭を抱えたくなる。

だけれど和也は優しく微笑むだけだった。


「とにかく、今はゆっくり休んで。先のことはまだ分からないんだから。一緒に考えようよ。かなうは本当に色々一人で抱え込み過ぎなんだよ。」


和也の言葉に俯いていた顔を少しだけ上げた。


「俺だけじゃなく、凛だっているだろ?何もしてやれないかもしれないけど、話すだけでも気持ちが変わったり落ち着いたりするし、とにかく今は休むこと。身体も心も、そうしないとまともな判断なんて出来ないよ。」


和也は真剣な瞳で私の瞳をじっと見つめた。

その漆黒の瞳は、やっぱり嘘偽り無く私のことを真剣に考えてくれているんだということを教えてくれた。

しっかりと瞳を合わせると、和也は優しく笑ってこう言った。


「気分転換にどっか行こうか?」


もうすっかり冷め切ったココアのカップを両手で持ちながら、私は小さく首を傾げた。


「大丈夫、もうかなうに触れたりしないよ。友達として誘ってる。」


友達という言葉に、私は少しだけ寂しい気持ちになったけれど、同時に何故か安心した。

和也は本当に私が決断を下すまで、友達で居てくれるというのだろうか。




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