叶う。 Chapter3
「俺・・・・かなうに会ったことがある・・・」
私は意味が全く分からなくて、和也を瞳をじっと見つめた。
「あの家の近くに、公園があるんだ。」
何も言わない私に、和也は思い出すようにゆっくりと目を閉じた。
「俺達は小学校入ったくらいだった・・・・あの公園で・・」
私は和也の言葉に自分の記憶を必死に辿った。
だけれど私にはその記憶を思い出すことは出来なかった。
「女の子が一人でブランコに乗ってた・・・だから、一緒に遊ぼうって言ってこうして手を差し出したんだ。」
和也はそう言って私に掌を差し出した。
私は一瞬躊躇したけれど、自分の右手を和也の掌に乗せた。
ぎゅっと手を繋がれた瞬間、何故か流れ込むように突然景色が切り替わった。
温かくて大きなその掌は・・・
漆黒の吸い込まれそうな瞳は・・・
そうだ・・・・
私は和也を知っていた。
思い出した――――。