叶う。 Chapter3
だけど私は首を振ったんだ。
もう少しだけ、その場所に居たかった。
私はブランコに座って、遊んでいる子供達を眺めてた。
子供が走り回る足音や笑い声が、何故かとても楽しそうで自分も一緒に遊びたいと思った。
だけど私は何も言えないから、ただそんな楽しそうな子達が何をして遊んでいるのか見て居たかった。
まだ子供だったレオンは、そんな私に怒っていた気がする。
そして私に、何かあったら電話するように言って、先に薔薇の家に向かってしまったんだ。
暫くそんな様子を眺めていると、同じくらいの歳の男の子が私に近寄ってきた。
黒いサラサラした髪に、子供らしく無邪気な笑顔を浮かべていた。
そして小さな手を差し出してこう言った。
「君も一緒に遊ばない?」
私は顔を上げるとその男の子の瞳をしっかりと見た。
漆黒の瞳は、まるで吸い込まれそうなほどに綺麗だった。
優しく笑ったその顔は今と全然変わってない。
慈愛に満ちたその瞳は一切の曇りもなく、真っ直ぐに私を見つめていた。
だから私は、その手に自分の手を重ねたんだ。
ぎゅっと握られた手から伝わる体温が、とても温かかった。
「君の名前は?」
手を握って、私をブランコから立ち上がらせた男の子は私にそう聞いたんだ。
だけど・・・・