叶う。 Chapter3
「・・・・・僕の、妹に触るな。」
声がした方向に視線を向けると、息を切らせたシオンが私に向かって走ってきた。
そして繋がれた手を叩いて、私の手を自分の手と繋ぎ合わせた。
私はすごく悲しい気持ちになったけれど、シオンはその男の子をいつもの冷たい瞳で睨むと、私の手を引いて公園の外に向かって歩き始めた。
私はごめんなさいと言いたくて、何度も何度も振り返ってその男の子を見たけれど、結局言葉は出てこなかった。
男の子はそんな私を不思議そうに、じっと見つめていた・・・・
そうだったんだ。
これはアンナの記憶?
こんなに鮮明に、その記憶が蘇った。
どうして、色がついているの?
私の記憶ならば、モノクロのはずなのに。
それに気付いた瞬間、私は慌てて和也の手を離した。
途端に呼吸が荒くなる。
頭が割れそうに痛い。
これは何?
私は一体どうしてしまったの?
「・・・かなう?」
「ご、ごめ・・・トイレ・・・」
私はそう言って席を立ち、口元を押さえたまま慌ててトイレに駆け込んだ。