叶う。 Chapter3




先生が部屋を出ようとした瞬間、お父さんは丁寧な態度のままこう言った。



「ご自宅までお送り致します。私はこの子に着いていますので、家の者で申し訳ありませんが。」


「ありがとうございます。助かります。」


「では、玄関に車を出させますので少しお待ち下さい。」


お父さんと先生は、そんな会話をしながら私の部屋を一緒に出て行った。


扉が閉まったのを確認すると私はゆっくりと身体を起こした。

途端にグラグラと視界が揺れたので、仕方なくまた直ぐに横になった。


そして自分の腕に、微かな痛みを感じてその元を辿ると、どうやら私の腕には点滴がされているようだった。


恐らくこのグラグラの原因はその点滴に薬を入れられたからだろうと思って溜息を吐く。


薬は好きじゃないけれど、今は仕方ない。


私はゆっくりと記憶を辿って、何故自分がここにいるのかを思い出そうとした。


だけれどそれは直ぐに思い出すことが出来た。

私は和也と喫茶店に行って、色々と話してたはずだ。



それで・・・・

頭が痛くなって、トイレに駆け込んだ所まではしっかりと覚えていた。

そしてその理由も、忘れてはいなかった。





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