散歩唱歌
威圧的ではない、どこまでも開放的で、どこまでも広大で、私の人生をかけても越えられないのではないかと思わせる深み。

波が演奏し、かもめとウミネコが唄う。

彼女の歌がオーケストラなら、ここはパレードのようだった。

「ワオ!」

彼女が両腕を広げる。

私は地面の砂を一握りすると、風がその砂をさらっていった。。

視界に一匹の猫が現れ、魚を咥えていった。

私はスケッチブックを取り出すと、その猫を描いてみた。

ざっとしたラフスケッチ。

それを覗き込むと彼女は嬉しそうに言った。

「絵、うまいじゃん、私も描いてよ」

彼女がVサインをする。
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