散歩唱歌
私はテレビを見なかった。

見ると自殺や反日デモなど恐ろしいものが流れるものだと思っていた。

そういう「怖い箱」と認識していたのだ。

「すごいんだ!高いところから鳥みたいに飛んで。小さいのに大きい人たちをやっつけち
ゃうんだ!」

「へぇ」

私はこのとき、始めてテレビに興味をもった。

彼女の笑顔とポーズのラフスケッチをして、その後、海に貝殻を投げあった。

私はそのヒーローが頭から離れなかった。
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