散歩唱歌
なぜだか私は呼吸も落ち着いて恐怖も感じなかった。(相手がひ弱な相手だったからかもしれない)

「その先は行っちゃ行けないんだよ」

私は看護婦の命令に従った。

規則を守れば怒られることはない、怒られないようにしていれば何も怖くない。

私はそう思い込んでいた。

すると少女はきょとんと、意外そうな顔をした。

「君、あんな人たちが怖いの?」

少女は八重歯を出しながら、大きく嗤った。

単純だが、私の心の語録に残った大きな言葉。

「だって、怒られるじゃないか」

それでも、私は頑なに拒否した。

「なんだ、ツマンナイ奴」

女の子は私に憤慨すると、ベーッと舌を出し車椅子をキュラキュラと動かして病院へと戻
っていった。
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