散歩唱歌
次の日、昨日の続きの絵を描いていると、また背中を押された。

心臓が高鳴り、汗がにじむ。

体が動かなくなった。

すると、固まった視界に昨日の女の子が現れる。

「よっ!押してくんない?」

輝かしいまでの笑顔で話しかけてくる。

風は彼女を連れてきて、太陽は彼女を明るく照らしているかのように。

まるで、太陽の申し子だった。

「ここから先は行っちゃ駄目だよ」

私は視線を絵に移しながら行った。

女の子はムッとした顔をするとまた舌をだした。

「女の子みたいにふにゃふにゃな奴!」

私は胸がムカムカした。

これが怒りというものだと気づいたのはずっと後のことだったのだが。

後のことを考えずに口が開いた。
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