ぎゅっと抱き締めて、そっとキスをして
「言葉は要らないの?」

聞こえてきたのは、さっきとは違う声。
なんなら、聞き覚えのありまくりな声。

「稔兄ちゃん!」

何故ここに?その言葉は、周りの人の声ですぐ判明。

「おー、遅かったな!待ってたぞー」

どうやら、まさかの最後の一人だったらしい。
会社名を聞いたときに“まさか”を予想すればよかった。
過りもしてなかった私は完全硬直。
稔兄ちゃんは「こんばんはー」なんて、すんなり馴染んで乾杯してる。
そしてストンと、当然のように私の横へ。

そしてまじまじと私を見る。

「竹山と仲良しになったの?」
って、聞いてくるけど、当の竹山さんはもう別の子と話してる。

「仲良しというか……さびしんぼうを放っておけなかったんじゃない?」
「ふーん?で、花梨は言葉がほしい訳じゃないって?」
「稔兄ちゃん、どこから聞いてたの?」



じと目って、多分今の私みたいなことをいうんだと思う。

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