ぎゅっと抱き締めて、そっとキスをして
「いや?言葉はなくても良いから、愛情を表現してくれる人が良いなぁってとこらへん?」

なんか、そこをクローズアップされると、恥ずかしいな。

「何て言うか、言葉はいくらでも嘘つけるし。私だって、必要な嘘はつくと思うし。そりゃもちろん、本心の言葉があるに越したことはないけど。でもね、そーじゃなくて、何気ない言葉を覚えててくれたりさ。然り気無く労ってくれたりさ。そーやって愛されてるなぁって実感を持ちたい」

ワガママかもしれないけど。
ていうか、それってそのまま、稔兄ちゃんのことなんだけど、この鈍感な人は多分気づいてない。
本人目の前にして、恥ずかしいけど、ちょっと切ない。



「わかるー!」

いつの間にか聞かれていたのか、私の言葉に賛同の声。
女の子たちが一様にうなずいている。

「そーやって、何気ないときにいった言葉とか覚えててくれて、プレゼントしてくれたりとかほんと、憧れるー!」
「全然良いともいってない趣味じゃないものプレゼントされたりしたら、ちょっと困るよねー」
「そーそー!ていうか、自分の何を見てくれてるのかな?て、不安になる」

おぉ、思わぬところで火種を巻いたようだ。


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